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【第13回】素晴らしきムダ知識!ジャンプトリビア

どうも、ライターの志田です。
ある日、編集さんと会話していたら「実はうすた京介先生のPNって、ウスターソースをもじった“うすた宗介”だったんだけど、誤植で“うすた京介”って雑誌に載ってから、そのPNをそのまま使ってるんだよね」という話を聞きました。

その瞬間、自分の体の奥底からこんな一言が湧き出てきました。



へぇ~!!



すぐにでも今入れた知識を誰かに伝えたくなるこの感じ……。これは、2002年から2012年にかけて放送されていた、フジテレビの人気バラエティ『トリビアの泉』で毎週のように味わっていた感覚でした。な、なつかしい!

もっと…もっとこの感覚を味わいたい!そしてきっとジャンプ界隈に眠っているトリビアは沢山あるに違いない!そう思った私は、いろんな編集さんに協力してもらってトリビアを探しました。一生懸命探しました。そしてトリビア……見つかりましたよ(番組が違う)。というわけで今日は、その集めたトリビアを一挙大放出します!!


まずはこちらのトリビアです。


仲間りょう先生は――




持ち込みから7か月で連載を開始した。


このトリビアについて詳しい人に聞いてみた。


――仲間先生は持ち込みから7か月で連載を開始したんですか?

井坂:はい、仲間先生は持ち込みから7か月で『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』の連載を開始しました。

――持ち込み原稿を見た時の印象はどうでしたか。

井坂:1ページ目を見た時は「あぁ、こっち系か」と。浮世絵風だし、奇をてらった一発ネタだと思ったんですよ。ただ、中身を全部読むとちゃんと面白かったです。

――そこからどのように連載まで?

井坂:一つの転機はジャンプ掲載ですね。尾田先生の急病で『ONE PIECE』の代原が必要になったんですよ。その時に「磯兵衛があるわ」と思って。代原なので、もちろん掲載位置とかも『ONE PIECE』が入る予定だった場所に入るんですよ。前から3番目ぐらいだったんですけど、そんないい位置に磯兵衛みたいなギャグ漫画が入るのも逆に面白いなと。

――周りの反応はどうでしたか?

井坂:当時の編集長の瓶子さんなんかには「代原史上いちばん面白い」と言ってもらいましたね。

――すごいのかすごくないのか(笑) いや、すごいんですけど

井坂:そこからもう1回読み切り載せたり、連載会議に出したものの「保留」になったり、紆余曲折はありました。ただ、連載会議2度目の挑戦で通って、無事連載が開始されました。それが持ち込みから7か月というタイミングでしたね。




確かに仲間りょう先生は、持ち込みから7か月で連載を開始していた。




それでは続いてのトリビアです。


芥見下々先生の描く女性キャラの足は――



兄の結婚式を経て細くなった。


このトリビアに詳しい人に聞いてみた。


――芥見先生が描く女性の足が細くなったのはお兄さんの結婚式がきっかけなんですか?

片山:はい、お兄さんの結婚式後に細くなりました。

――どういった経緯なんでしょう?

片山:芥見先生が式場に飾るウエルカムボードを描かれまして、それを見たお兄さんのお嫁さんが「私の足ってこんなに太い!?」とショックを受けられたそうで。

――なるほど。

片山:芥見先生はご家族にもだいぶ責められたそうです。そこで改めて兄嫁さんの足を見ると「おや?確かに太くないぞ」と気付かれたそうで。そこからはもう、呪いが解けたように。

――細くなったと。


片山:ちなみにこの詳しい話は現在発売中の『呪術廻戦』2巻のおまけページでも書いてあるので、気になった方はぜひお買い求めください!!

――ありがとうございました。




女性キャラの足の細さの裏には、家族の絆の太さがあった。




それでは続いてのトリビアです。


うすた作品のツッコミキャラたちは――







さまぁ~ずの三村マサカズ氏をお手本にしている。



このトリビアに詳しい人に聞いてみた。




――うすた作品のツッコミキャラは、さまぁ~ずの三村さんをお手本にされているんですか?

榊原:はい。うすた先生は、バカルディ時代からさまぁ~ずさんの大ファンで「なんでやねん!」などと否定せずに、「〇〇しちゃったよ!」など状況を説明するような三村さんのツッコミを参考にキャラにツッコミをさせていました。

――そうだったんですね。

榊原:うすた先生本人にもコメントをいただいたのでご覧ください。

――もらっちゃったよ!

榊原:……え?

――すいません。


<うすた京介先生からのコメント>

たしかに三村さんからはかなり影響を受けていますし、なんならボケにも大竹さんの影響がかなり色濃く入ってます。
もちろんさまぁ~ずさんだけでなく他にも色んな人の影響が入っているとは思いますが。




確かにうすた作品のツッコミキャラは、さまぁ~ず三村氏の影響を受けていたし、ボケキャラは大竹氏の影響を受けていた。




続いてはこのトリビア。


集英社の地下にある仮眠室には――



幽霊が出るというウワサがある。



このウワサは以前から聞いたことがありました。見えるタイプの社員の方々が、女性の霊を見たり、存在を感じたりしたとか……。


女性の霊か……



これは検証しなくては!!


というわけで、実際に行ってみた。


地下なので物音も少なく、ひっそりとしています。
突き当りが仮眠室なのですが、なにやら出そうな雰囲気。



ドアを開けるとこんな感じ。暗いと不気味ですね。
中はひんやりとしていたのですが、シンプルにクーラーが効いていただけでした。



見た感じは普通の仮眠室です。
ただ、地下のシンとした部屋というだけで、ちょっと怖い気がします。



さっきは幽奈さん的な霊が出るかもとワクワクしていましたが……


よく考えたら『地獄先生ぬ~べ~』に出て来た花子さんみたいな霊が出る可能性もあるんだった。いや、花子さんならまだマシ!はたもんばとか、てけてけとか、七人ミサキとか……その辺りのガチ勢が出て来たらどうしよう!


するとその時――





ビクゥッ!!


……まさか、七人ミサキ!?

「すいませ~ん」


一人フジタだった!!!!


藤田:あの、新しいトリビアをキャッチしたんですけど。今ジャンプ編集部があるビルの3階に死神が出るらしいです。

志田:ほんとっすかぁ?まぁ行ってみますか。


実際に行ってみた。


この近代的なビルに死神が!?


3階に来たけど、死神なんていないなぁ。





…………おわかりいただけただろうか?


それではもう一度、ゆっくりとご覧ください。





……いた!!



リュークに話を聞いてみた。

――いつからここに?

「・・・・・・・・・・」

しゃべるわけなかったので、事情に詳しい武田さんに聞いてみた。


――このリュークはいつからここにあるんですか?

武田:4~5年前に『DEATH NOTE』企画の一環として、リアル脱出ゲームでおなじみSCRAPさんと組んで、「新世界の神からの脱出」というイベントを行い、その時に作った胸像の一つなんです。東京と大阪の2会場で実施したため、胸像は二つあるんですが一つは参加者の方に抽選で差し上げました。もうひとつは先生にと思って引き取ったんですが、でかすぎて置けないと言われて現在に至る、という感じです。

――ずっとここに置いてあるだけなんですか?

武田:実は人気で、今まで3~4回ぐらい『DEATH NOTE』がらみのイベント時に貸し出していますよ

――実用も兼ねていると。上半身しかないのには何か理由があるんですか?


武田:脱出ゲーム時の設定が「壁をすりぬけて出てきている途中」だからです

――そうだったんですね。




本社ビルの地下に幽霊がいるかは分からなかったが、現在ジャンプ編集部があるビルの3階には死神がいる。




ここで一つ趣向を変えて、日常の疑問を調査して新たなトリビアを発見する「トリビアの種」のコーナーに行ってみましょう!


~東京都:志田さんからのお便り~
ジャンプではこれまでに何本もの漫画が連載されていますが、その裏には編集さんの努力もあったはずです。そこでふと思ったのですが、ジャンプ本誌で今まで一番多く漫画を立ち上げた編集さんは一体誰なんでしょうか?これってトリビアになりませんか?よろしくお願いします。


このトリビアの種、つまりこういうことになります。



ジャンプ編集部員の中で、ジャンプ本誌に一番多く漫画を立ち上げたのは  ?  



というわけで、壮大な調査の第一歩として知り合いの編集さんへの聞き込みを始めたのですが、誰に聞いても同じ人の名前を挙げるんです。「絶対あの人っしょ」的な。
こ、このままだとすぐに調査が終わってしまう!
多少間を持たせたいので、まずはここ最近の編集部員の立ち上げ本数ランキングを見てもらって、その数と本命の人物の立ち上げ本数を比べることにします。
ランキング作成には井坂氏に多大なる協力をいただきました。ありがとうございます!


ではランキング行きます!


暫定1位:中路編集 14本
『ぬらりひょんの孫』『食戟のソーマ』『ゆらぎ荘の幽奈さん』など

暫定2位:大西編集 13本
『銀魂』『いぬまるだしっ』『銀河パトロール ジャコ』など

暫定2位:吉田編集 13本
『DEATH NOTE』『D.Gray-man』『めだかボックス』など

暫定4位:川島編集 12本
『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』『SKET DANCE』など

暫定4位:齊藤編集 12本
『黒子のバスケ』『ニセコイ』『ぼくたちは勉強ができない』など


次点が井坂氏の11本で、10本越えはここ最近ではこの6名だけでした。
それでは、誰もが名前を挙げた本命の人物に行きます!



?位:瓶子さん
『NINKU -忍空-』『忍空SECOND STAGE』『MIND ASSASSIN』『陣内流柔術武闘伝 真島クンすっとばす!!』『幕張』『遊☆戯☆王』『武装錬金』『太臓もて王サーガ』など

立ち上げ本数は…………20本!!


…圧倒的だった!!


こうしてこの世界にまた一つ新たなジャンプトリビアが誕生した。


ジャンプ編集部員の中で、ジャンプ本誌に一番多く漫画を立ち上げたのは瓶子吉久。

ただ、30年以上前のデータは調べ切れていません。それぐらい前になるとデータが残っておらず、当時の話を聞くとなると相手が役員クラスになるので、完全にしり込みしました。もし、もっと立ち上げた人を知っている!などの情報をお持ちの方はご連絡ください。


それではラストのトリビアです。


ジャンプ史上、最も短時間で作られた作品情報ページは『まんゆうき ~ばばあとあわれなげぼくたち~』の「オイッス!!まん☆まん全書」。


『ONE PIECE』の「グラばこ」や『銀魂』の「はみ魂」など、作品の最新情報をギッシリ詰め込んだ情報ページってありますよね?
あれってライターやデザイナーがじっくり時間をかけて作っているんです。
大まかに言うと…、打ち合わせ→ライターがページの設計図を作成→デザイナーが実際にデザインする→ライターがデザインに会う文字数で原稿書き→デザインと原稿を合わせて印刷所へ。各工程に「編集チェック」が入りますが、入稿までにこれだけの作業があるんです。きれいなスケジュールだと、1週間ぐらいの時間を使うでしょうか。
そんな中、過去最短時間で作られた情報ページが、上で挙げた「オイッス!!まん☆まん全書」なんです!


その当時の様子をよく知る人がこの人です。


瓶子:どうも。

――瓶子さん!当時の状況をお教えいただけますでしょうか。

瓶子:あれは原稿取りが終わって編集部に帰ってきた時のことでした。台割(注:どこにどのページがどれだけ入るかが書かれた、雑誌の設計図のようなもの)を見てる時に気づいたんですよ。……あ、これ1ページ足りないって。

――既に大事件じゃないですか!

瓶子:夜も遅い上に、明日が校了(注:刷り上がったページをチェックする「仕上げ」的な作業)ってタイミングでした。デザイナーさんも帰ってしまっていたので、自分で何とかするしかないなと。

――それで情報ページを入れることにしたんですね。


瓶子:ページのタイトルは当時の『幽☆遊☆白書』の情報コーナー「幽☆遊☆全書」をオマージュして「まん☆まん全書」にしました。でも何か足りないなぁと思って、偶然近くにいた後輩に何が足りないと思う?と聞いたら「“オイッス!!”じゃないですか」って言われて「それだ!」と。

――それなのかなぁ(笑)

瓶子:その場でタイトル名は筆ペンで書いて、コピー機で拡大したり縮小したり、切ったり貼ったりして自分で版下作って入稿しました。

――どれぐらいの時間で作ったんですか?

瓶子:大体2~3時間だったと思います。

――はやっ!!……ちなみにその後コーナーは続いたんですか?

瓶子:何度かやった覚えがありますが、もちろんデザイナーさんに頼みました(笑)

――というわけで、今回は特別にその「オイッス!!まん☆まん全書」をご覧いただきましょう!


約24年ぶりに大公開!!
これが「オイッス!!まん☆まん全書」だ!!

デザインはシンプルな反面、原稿量が急きょ作ったとは思えないほどのボリューム!しかも文章が深夜のテンションというか、なんだか妙にエネルギッシュで読ませる読ませる!瓶子さんによる手書きのコーナータイトルも味わい深い上に、こうして見ると「オイッス!!」がいい具合に効いている気が……。
このページをゼロの状態から2~3時間で作るパワー。見習って行きたいです。




ジャンプ史上、最も短時間で作られた作品情報ページは「オイッス!!まん☆まん全書」だった。




いかがだったでしょうか。素晴らしきジャンプトリビアの数々。
探せばもっとある筈なので、コツコツ集めていこうと思っています。
今回の調査に協力いただいたみなさま、どうもありがとうございました。

最後の自己紹介にもプチトリビアを用意したので、良かったら見ていってください。


~おわり~


今回トリビアに出てきた作品の購入はこちらから!

『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』

『呪術廻戦』

『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』

『ピューと吹く!ジャガー』

『フードファイタータベル』

『地獄先生ぬ~べ~』

『DEATH NOTE』

『まんゆうき ~ばばあとあわれなげぼくたち~』


ライター/志田用太朗
フリーライター兼ライトノベル作家。ジャンプ巻末の読者投稿ページ「ハガキ戦士ジャンプ団」の十代目チャンピオンで、当時のPNは初代局長芹沢鴨。もう20年近く前の話です。