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サバイバルで生き残れ! 24時間電気なし生活をしてみる

電気というものがある。夜を明るく照らす照明も、スマホの充電も、エアコンも全て電気で動いている。最近は料理もIHクッキングヒーターだったりするので、電気がないと料理すらも難しくなる。そもそもそれらを作るのも電気を使っている。


では、電気がもし使えなくなったら、我々は生活できるのだろうか。火を起こしたり、川で体を洗ったり、なかなかにサバイバルな状況になるだろう。ただ今後、電気がない状況が万が一にも来るかもしれない。ぜひ練習しておきたいと思う。


アラタプライマル的状況

少年ジャンプ+で連載中のマンガ「アラタプライマル」。主人公の皆素新太(アラタ)は電気で動くもの全てに嫌われる体質で、周りからは「電磁パルス原人」と呼ばれている。彼が近づくとスマホがバグったりするので、電気のない生活を送っている。


めちゃくちゃ面白いよ!


さらに、急増した太陽フレアが地球に来て、全世界で大停電が起きる。電気はもちろん水道やガスも使用できなくなるのだ。その後世界が原始の世界へタイムスリップしたことがわかるという、原始サバイバルミステリーだ。サバイバルとミステリーが読み手をドキドキさせる。


アラタプライマルが大好きな、この記事を書いている地主です!


アラタはサバイバル能力に長けていて、ライターなどを使わずに火を起こしたり、サーベルタイガーと戦ったりする。電気のない世界でも彼はたくましく生きていて、実にカッコいいのだ。空気が読めなくて友達がいないあたりも私と親近感を感じる。ぜひ私もそういう生活をしてみたいと思う。


アラタプライマルのように、


電気のない生活を送ります!!!


電気のない生活?

私もアラタプライマルのように電気のない生活を送るべく、山梨の山奥の村「小菅村」を訪れた。ここには「原始村」という場所があり、縦穴式住居を体験できるのだ。アラタプライマルの原始とは異なるけれど、共に原始なのでセーフということにしたい。


アラタプライマルの原始


今回の記事の原始(スマホとはここでバイバイです)


ちょっと原始のレベルが違うのだけれど、ここで電気のない生活を送ろうと思う。IoTなどが進む昨今でわざわざ電気のない生活。スマホを見ることすらできないのが一番のストレスだ。しかし、アラタプライマルのようなことが起きるかもしれない。備えあれば憂いなしなのだ。


電気なし生活のために、まずは小枝を拾う


すでに腰が痛いもんね


火を起こさなければ何もできないので、薪拾いから電気なし生活は始まる。火なんてガス台や、IHクッキングヒーターのボタンを押せば使えるけれど、電気がないとそれもできない。そのためにはまず薪拾いなのだ。


薪割りも行います!


アラタもやっていました!


薪割りもかなり大変。腰が痛い。斧やノコギリで小さくして、その後にナタでさらに小さくして、火を起こしやすくする。着火するまでが長い。しかも、24時間分と思うとかなりの量が必要だ。でも、電気なし生活には薪は大切なのだ。


買いました!


あまりにキツかったので買った。便利だね。買えるって便利だね。最初は絶対に全部自分で作る、と思っていたけれど、あまりにキツくて買った。お金は使ったけれど、電気は使ってないのでセーフということにしよう。


ついでに松ぼっくりも拾いました!


ライターを使わず火を起こす

いよいよ火起こしだ。いろいろな方法があるけれど、アラタプライマルで行っていたようにフェザースティックを作り、ファイヤースターターで火種を作る。フェザースティックとは枝の先をフェザー(羽)のように削ったものだ。


これがフェザースティック


こっちがファイヤースターター


不器用なりにフェザースティックを削り出し、


ファイヤースターターで火を起こす!


アラタプライマルでは、この二つを使い、瞬時に火を起こしていた。ライターなどは使用回数に制限があるけれど、ファイヤースターターならそれがない。物資が期待できない状況に適している。これで火を起こせてこそのサバイバーなのだ。


これはすぐに火がつくよね!


1時間が経ちました


びっくりしたね。1時間よ、1時間。フェザースティックに火がつくことはなく、ひたすらファイヤースターターで火花を散らすだけという、この世で3番目に意味のないことをしていた。ちなみに1番はやらなきゃいけないことがある状況でYouTubeを見るです。


もうチャッカマンを使います!


めっちゃラク!


ガンガン火がついた!


チャッカマン便利。アラタもライターを使っているシーンがあったので、セーフとしよう。ちなみに最初は松ぼっくりに着火する。松ぼっくりは油分が多くて火種を育てるのに適している。着火材などがなくても松ぼっくりがあれば、そこから大きな火となるのだ。


次は食材です!


鹿の足を焼く、炭も作る

食材を集めるのも大変だ。もし電気がなくなると、多くのものが製造できなくなる。流通もしなくなるだろう。そうなると自分で食材を探さなければならない。ただ野草とかばかりではなく、肉を食べたい。そこで鹿だ。


マンガでは虫を食べていたけど、


私は買いました、

鹿の右後ろ足を!


鹿を獲るには狩猟免許などが必要。私はそれを持っているのだけれど、登録とかいろいろあるので買った。オスの鹿の右後ろ足だ。マンガ肉みたい。猟師さんがくくり罠で取った鹿なので、電気を使ってないのでセーフだ。お金は使ったけど。


焼きました!


焚き火なのであまり料理には向いていない。火力が安定しないからだ。一方で炭は火力が安定しており遠赤外線効果もあるので、料理などに適している。今回は焚き火なので肉に火が通りにくく、最終的には安全のために小さく切って焼いて食べた。


肉を小さく切って、


焼いて、


食べました!


美味しい。鹿肉は臭いイメージがあるけれど、きちんと血抜きなどの処理をしていれば、そこまで臭くない。ただ焚き火でやると木の味がついて、本来の美味しさを発揮していなかった。十分美味しんだけどね。


ということで、炭を作ります!


肉は明日も食べる予定なので、炭を作ることにした。蓋のできる缶に木や松ぼっくりを入れて、蓋をして焚き火の中に入れて2、3時間放置する。すると炭ができるのだ。実に簡単だ。


火の中に入れて、


完成!


極寒の夜と朝

夜がやってきた。驚くほど寒い。電気なし生活なのでエアコンが使えない。そもそもこの竪穴式住居にはエアコンがないのだけれど。照明はあるけど使わない。電気なし生活だから。その結果、寒くて、暗い。布団と寝袋に包まって眠った。


暗いし、寒い!


ただこのような経験で私のサバイバルな部分は目覚めていた。朝起きたら私の心の原始が叫びだしていたのだ。電気のない生活に順応したのだ。そう、もうなにも怖くない。私が現実世界のアラタなのだ。


おはようございます!


全然寒くない! 顔を洗います!!!


うそ、めちゃくちゃ寒い!


だって、2℃弱だもん!


拝啓、これを読んでいるということは、皆様は5月のポカポカ陽気を迎えたのだと思います。しかし、これを撮影したのは4月の初めの小菅村でして、桜も咲いておりません。小菅村では年にもよりますが、5月のちょうど今頃が桜の見頃を迎えることも多いのです。北海道と同じくらいに桜が咲くのです。だから、寒いのです。敬具。


すぐに服を着て、火起こしです!


昨日は自作のフェザースティックで火起こしをしようとした。ただ無理だった。アラタプライマルを読んでいるとアラタの作ったフェザースティックはフェザーというより、タンポポの綿と書いてあった。そこでもう本当に綿でやることにした。


書いてあるんですよ!


綿だとすぐに着いた!!!


炭を起こして、


鹿肉で朝ごはん!


綿を使うと、ファイヤースターターでも簡単に火がついた。一発だ。昨日の1時間はなんだったのだろう。そして、やはり炭で肉を焼くと美味しかった。肉の美味しさがさらに引き出されている。料理をするなら炭に限る。焚き火ついでに炭を作っておくといいだろう。


飲み水は濾過ストローを使っています!


飲み水は濾過できるストローを使い、直接川から飲んでいる。濾過ストローなしの川の水は、お腹を壊す可能性あるので飲めない。ただ万が一を考え整腸剤も飲んだ。それも川の水で飲んでいるので意味があるのか謎だけど。


直接飲む!


土器とお風呂

やはり直接川から水を飲むのは文明を築いた人間にはちょっと向かない。電気こそないけれど、優雅な時間を過ごしたい。ということで、器を作ることにした。土器だ。火があるのでちょうど作ることができる。


粘土をこねて、


不器用なりに形を作って、


石と共に火の中に入れて、


焼く!


焼いている間にお風呂に入ろうと思う。寒いので汗こそあまりかいていないけれど、火のそばにいるので燻された匂いがする。私はサバイバーではあるけれど、ジェントルマンでもあるのでお風呂に入らなければならないのだ。


川でお風呂!


クソほど寒い!!!


急いで熱した石を、


缶に移して、


川の水にアロマオイルを入れて、


石にかけて、


缶に覆いかぶさるように座る!!!


簡易のサウナである。ポンチョのようなもので蒸気がもれないようにするのがポイント。わずかな隙間からアロマオイルの匂いがして非常に温かいし気持ちがいい。そして、温もったらまた川に入ればいいのだ。


十分に温まったら、


すぐ川へ!


そんなことをしているうちに土器が焼きあがっていた。風呂上がりの一杯と行こうではないか。火照った体に川の冷たい水は合う。五臓六腑に染み渡る。これぞサバイバルの醍醐味。これでこの企画の終わりを飾ろうと思う。


冷たい水が美味しいな!


もちろん濾過して飲むけどね!


サバイバルミステリー

アラタプライマルに憧れて電気なし生活を送ってみた。最初は火を起こすのに手間取ったけれど、アラタプライマルで読み込んでいたおかげで、無事に生き残ることができた。アラタプライマルでは、サバイバルだけではなく、ミステリーという要素もあり、目が離せない。なぜ原始の世界になったのだろう、とか。マジで面白いよ!


24時間経ったら、すぐにスマホを見たよね!



コミックス第1巻、本日発売!



地主恵亮(じぬしけいすけ)
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。
2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「インスタントリア充」(扶桑社)がある。
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