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【第4回】世界に羽ばたくジャンプ!海外版ジャンプ作品のタイトルってどうなってるの?

どうも、ライターの志田用太朗です。

日本が世界に誇るポップカルチャーの一つに「漫画」があります。今この瞬間も、さまざまなジャンプ作品が海外で読まれています。今や「MANGA」は世界共通言語! 『ONE PIECE』は海外の43以上の国と地域で流通しています。

ジャンプ編集部も世界に目を向けていて、現在『ジャンプ世界一マンガ賞』なるワールドワイドなマンガ賞を開催中です!!


この賞は「日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、ロシア語、フランス語、スペイン語」の8か国語で募集をかけているのですが、日本語は世界的に見てもニッチでどこか特殊な言語……。日本語で描かれたマンガ作品は、海外で一体どんな翻訳をされているのでしょうか。


気になったことは全て調べてみるのが「ジャンプ+α」!!

というわけで、翻訳の第一歩になる「作品タイトル」に絞って調査してみました。


このタイトルはどのジャンプ作品でしょう



いきなりですが、ちょっとしたクイズから始めようと思います!

某人気マンガの台湾版タイトルを1文字ずつ出して行くので、それがどの作品か当ててみて下さい。ジャンプ好きなら、誰もが知る作品です。行きますよ!



1文字目はカラスです。何となく連想できる作品は幾つかあるけれど……。恐らくこの時点で正解出せる人はいないかと思います。ちなみに、全部で5文字です!


烏龍


2文字目は「龍」。続けて読むと、ウーロン。ジャンプ好きなら思い当たるキャラはいると思いますが……


思い当たるキャラ


まさかタイトルになるはずのないキャラですよね。ここでも正解は出ないと思うので3文字目行きます!


烏龍派


この辺から、勘のいい方なら正解を出すと思います。自力で当てたい方は、ここでちょっと考えてみるのもアリかも!それ以外の方、4文字目行きますよ!





烏龍派出


4文字目は出!分かった方も多いんじゃないでしょうか。それでは正解行きます!






『烏龍派出所』


そう、正解は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でした!

「烏龍」は広東方面で「ドジな」だとか「不注意な」といった意味で使われる言葉のようです。意訳すると「ドタバタな派出所」といったところでしょうか。


長いタイトルの作品と言えば……



『こち亀』のような長いタイトルの作品は、短いタイトルにされがちなのかもしれません。では、こちらはどうでしょうか。


『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』


ジャンプSQ.で連載されていた、人気アニメのコミカライズ版です。ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ブラジルなどで出版されているのですが、合理的な国民性を持つドイツでは、この長いタイトルをどうローカライズしたのでしょうか!ではご覧ください!







『ano hana』


……合理的!

どこかで「ベッケンバウアー」とか「ノイシュヴァンシュタイン」とか、そういったものを期待していたのですが、実にシンプルな『ano hana』。メインタイトル下のサブタイは「あの日僕達が見た花」といった意味です。ここも地味に省略されています。


なんでもドイツでは「あの花」という略称が良く知られていて、じゃあそのままタイトルにしよう!となったようです。「あの花」の知名度に関して言うと、世界各国同じようなものらしく、フランスやイタリアやブラジルやスペインでも「ANOHANA」というタイトルが付けられています。「あの花」はもはや世界基準なのです!


これはブラジル版。儚げな書体もいい味出してます。


日本版に近づけるための工夫



『あの花』同様に、日本版タイトルがかなり浸透しているため、日本語をそのままタイトルにしている例は他にもあります。意外なところで言うと、ベトナム版『るろうに剣心』。


『Rurouni Kenshin』


アメリカなどでは『Samurai X』として知られる『るろうに剣心』が、ベトナムでは日本語そのままで発売されています。

昔は『Lang khach Kenshin』( 放浪者剣心)というタイトルで販売されていたのですが、本来のタイトルの知名度上昇に伴って近年出版されたバージョンでは上記の『Rurouni Kenshin』表記になっています。

それにしてもサブタイトルの「剣心・緋村抜刀斎」まで日本版と同じにするとは……。恐るべしベトナム!きっと現地の小学生も、定規とかで「天翔龍閃」放ったり、手頃な石に「二重の極み」を試して拳を軽く痛めたりしてるんでしょうね。親近感沸くなぁ。


アメリカ版『遊☆戯☆王』も、タイトルそのままです。


『Yu-Gi-Oh!』


日本版タイトルロゴの上部にある『YU-GI-OH!』をそのまま使った感じですね。「OH!」の部分が、陽気なアメリカ人に合ってる気がします。「OH!」が「王=KING」という意味だと知らない人もいるんでしょうか。

巻数表記が「1-2-3」になっているのは、3巻分を1冊にまとめたバージョンだからです。アメリカではコミックスもラージサイズ!一気にたくさん読みたいアメリカ人の気風に合ったバージョンですね。


なるべくオリジナルの日本版と同じものを!という現地のこだわりは、タイトルの書体にも表れます。下のロゴ、タイ版の某作品のものなのですが、どのタイトルかわかりますか?現在週刊少年ジャンプで連載中です!


筆で書かれたような力強い書体!!



正解はコチラ!!







『火ノ丸相撲』


黒い文字が現地語で「火ノ丸相撲」。下の文字が「小さな力士が世界で戦う」といった内容のサブタイトルになっています。黒文字の部分がもう雰囲気バッチリ!薄目で見ると『火ノ丸相撲』って書いてある気さえしてきます。

「一日14こみかん」って書いてある気もしてきますけど。


それから注目すべきは右上の「15+」というマーク。実はこれ、出版社が自主規制で設定した年齢制限なんです。法的に縛られていたりするわけではないのですが、できれば15歳以上になってから読んでね!という出版社側からのメッセージです。購入時に身分証明が必要だったりするわけではないので、15歳以下の子も買えちゃうのですが、



火ノ丸のこの「ちょっと待った」と言わんばかりに開かれた左手を見ると、「ちゃんと15歳になるまで待とう!」という気になるのではないでしょうか。


造語への対応は?



日本語にも存在しないような言葉がタイトルに含まれている場合はどうなるでしょうか。例えば『干物妹!うまるちゃん』。外では完璧、家ではぐーたらな内弁慶の外美人うまるちゃん。家でのだらけ具合から「干物妹」と喩えられていますが、この微妙なニュアンスにはどう対応しているのでしょうか。台湾版のタイトルを見てみましょう。


『我家有個 魚乾妹』


『我が家の干物妹』。直訳している感じですね。ただ、現地語の「魚乾妹」って字面は、著者のサンカクヘッド先生の表記含めて結構インパクトありますね。可愛い妖怪がたくさん出て来そうな……。アニメ1期のオープニングテーマの「UMAじゃないよ」という歌詞は、台湾版タイトルに対するアンサーソングだったんでしょうか(※違います)。


次に紹介するタイトルも造語があるのですが、フランス版では全く違うタイトルにしています。フランス版タイトルを先にお見せしますので、良かったらどの作品か当ててみて下さい。タイトルは以下の通りです。


『Les rodeurs de la nuit』(夜の徘徊者たち)


『ぬらりひょんの孫』を連想した方もいるかと思いますが、違います。ヒントとしては、現在週刊少年ジャンプに連載されている作品です。


では答えです!




答えは……






『鬼滅の刃』でした!

主人公というより、鬼側のことを説明したタイトルですね。


各国を唸らせた海外版タイトルとは!?



『鬼滅』もそうでしたが、フランスは割とオリジナルタイトルをつけることの多い国です。フランス人がフランス好みにタイトルをつけるので、中には「これでいいの?」と思うようなタイトルもあったりします。国によってタイトルの好みがあって面白いなと思うのですが、そんな中で各国が絶賛した現地版タイトルがありました。それを最後に紹介しようと思います!


日本版タイトルは『カラダ探し』


そう、ジャンプ+の誇る人気タイトルです。そのフランス版タイトルがこちら!


『RE / MEMBER』


これは「Member (カラダの部所、手足)」「再構築("Re"-Member)」しなければならない。さらに、前日のカラダ探しを「覚えていて(Remember)」同じ日がカラダ探しを終えるまでループする……という、作品の特徴を上手く掴んだ語呂合わせになっているんです。これはなかなかにいいタイトル!

このタイトルを知ったドイツやイタリアが、「うちも同じタイトルにしたい!」ということで、フランスにわざわざ許可を取って同じタイトルにした……というエピソードもすごく頷けます。他のタイトルを付けようとしても、どうしてもこのタイトルのことが忘れられなかったんでしょうね。まさにリメンバー!!

……と、強引なオチを付けたことに関しては是非忘れて欲しいのですが、今後も興味深い海外版タイトルを見つけたら、皆さんに紹介していきたいと思います。



『カラダ探し』14巻好評発売中!
15巻は10月4日発売!みんな、リメンバー!!


ライター/志田用太朗

フリーライター兼ライトノベル作家。1981年生まれ。3歳まで大阪、24歳まで京都、

現在は東京在住。「県」に住んだ事がないのが密かな自慢。