少年ジャンプ+に受賞作掲載
「傘と長靴それと太陽」いりえ
あらすじ
自分のいるところに雨を降らしてしまう少女。彼女には好きな人がいて…
編集部講評
キャラクターが可愛らしく、心温まるストーリーでした。絵も見やすかったです。この2人が出会うという作品の仕掛けは良かったと思うのですが、もう一歩読者の印象に残るような展開・見せ方の発想があるとなお良かったです。次回作も期待しております。
水あさと先生講評
ストーリーはとてもシンプルですが、飽きさせずに読ませる力があり、きれいにまとまっていると思います。心情を丁寧に描いていて、オチも爽やかで良かったです。 全体を通して主人公が少し受け身のままなので、成長する場面が描かれていたらもっと良くなると思いました。
「反攻」雉森
あらすじ
短距離で才能を発揮してきた初奈。ある日突然、妹の二奈に記録を追いつかれてしまう。姉としてプライドを保つため、妹に抜かれないように奮闘する初奈だが…!?
編集部講評
独特のセリフ回しで心情を丁寧に描写しており、力を感じます。ただその一方で展開にひねりがなく順当に進むため、小さくまとまってしまっている印象も受けました。読者の予想を超えるアイデアを組み込めるように、自由な発想で描いてみてほしいです。次回作にも期待しております。
水あさと先生講評
姉としての複雑な心情や葛藤を巧みに描いており、オチも爽やかに終わっていて良い読後感でした。全体のバランス構成もとても上手です。構図もよいので、それを描き切れる画力やキャラの描き分けなど、これから伸ばすとさらに良いと思いました。
「卵処理班の高橋さん」伊坂庵
あらすじ
成虫となると災害級の被害をもたらす「鴻虫」。卵のうちに破壊する必要があるのだが、ある村が鴻虫の卵を隠し持っているという情報が入り…!?
編集部講評
表情の描き方や世界観の説明、主人公の飄々とした描かれ方など、随所にセンスを感じる作品でした。ただ今は「なんとなくかっこいい」という雰囲気で読み進める作品となっており、心情描写に一貫性がないので、主人公や村の人々に感情移入しづらい構成でした。次回は心情描写に力を入れてみてください。期待しております。
水あさと先生講評
世界観や主人公の仕事内容を説明しすぎすにわかりやすく導入にまとめており、上手いです。描き込みの多い画面も読みやすくまとまっています。先を感じさせるオチもとても良いと思います。反面、アクションシーンや展開の緊迫感が薄く感じました。まだ若く、とても将来性を感じました。
「神光」三枝瑚季
あらすじ
少女の運命は世界に出現した「謎の光の線」についてインタビューを受けたことで一変する。
編集部講評
画面の演出、展開に工夫がある作品でした。ただ、ストーリーの流れが急で読者を置いていってしまう印象がありました。作品全体の要素が多すぎないか、それぞれのエピソードで何を見せたいのかなど自分の中で整理してみてください。次回作も期待しております。
水あさと先生講評
独特な演出に伸びしろを感じますが、全体的に説明不足な点が多かった印象です。神光や弟の刀などをオチや展開にもっと組み込めたら、不思議な設定にも説得力が増すと思いました。
- 「6人目の再難」安達テムス
- 「ふたりの母親」小采禄郎
- 「空の飛び方」コルティナ
- 「高くて遠い」仲臣結人
- 「河清」綿樫トウハ
- 「天使の仕事」寿猫くるみ
- 「リリちゃんのアルバイト」225号
- 「また明日」言波
- 「タイトルなし」 副田暁人
若い才能を感じる作品が集まりました。 みなさんが今興味があるコトをしっかり描けていると思います。 ただその分、読者を楽しませる工夫が弱いと感じました。また、思いついたアイデアを煮詰め尖らせる作業が足りていない作品も見受けられました。 受賞した2作品は、足りない所もありつつ読者に届けよう・楽しませようという努力を評価しました。
全体的にうまくまとまっている作品が多かったです。 その反面、衝撃的な結末や心を揺さぶられる展開なども少なかった印象があります。 余分なページをもう少し減らし、見せ場にもう一ひねり加えるなどするとストーリーに深みがでるかもしれません。
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