【注意】この記事にはゴキブリなどの虫の写真をたくさん掲載しています。苦手な方は閲覧をご遠慮ください!
じょうじ!おげんきです。やーうれしい。週刊ヤングジャンプで『テラフォーマーズ』連載再開しましたね!
いま連載8年目!
『テラフォーマーズ』は人間と〝テラフォーマー〟という進化したゴキブリとの戦いを描いた超大ヒット漫画です。期間限定で1巻試し読みもやっているので未読の方はチェック。
盛り上がる『地球編』の続きが読めるってことでとてもワクワクしていたこの頃ですが…。ゴキブリに関して、こんなウワサを耳にしました。
「ゴキブリが食べられるお店があるらしい」
嘘だろ。ゴキじゃん。今日び400円あれば牛丼食べられるし、10円のうまい棒だって長年ずーっとおいしい。世の中には安くておいしい食べ物があふれているのに、何が楽しくてゴキ食べるの。どういうことなの。
こんなウワサも知ってる。〝昆虫食〟に世界が注目してると。地球の人口増加による食糧難を救う救世主だ!とか、たとえば牛と比較したら餌あたりで産生できるタンパク量が多いのでエコ!とか…。
わかったよ!そこまで言うなら食べるよ!!!
『テラフォ』の強キャラで味くらべするぞ
今回お世話になるのは、高田馬場にあるジビエ居酒屋「米とサーカス」さん。今回高田馬場店にやってきましたが、メニューとしてゴキブリを提供している店舗は錦糸町のお店だそう(これ重要)。
入口のマスコットがグッタリしていてチャーミング!
1階。カウンター越しに調理場の店員さんとお話しできます。
2階。男心をくすぐる秘密基地感。
こちらの「米とサーカス」さんに錦糸町店からゴキブリを調達していただきましたが、ただゴキブリ1匹食べるだけってのも数が少ないので、この際『テラフォーマーズ』キャラクターの〝能力モデルの昆虫〟も「ジャンプ+」で調達し、一緒に食べることにしました。
名付けて『テラフォーマーズ』おいしいキャラクター選手権(パチパチパチ)!
ルールは簡単。『テラフォ』の昆虫4種を素揚げにして食べくらべ。もっとも審査員の評価の高かった虫が人類代表!そしてラストにゴキブリの唐揚げを食べて、人類代表の昆虫と味を競うというもの。『テラフォーマーズ』には昆虫以外の能力も出てきますが、今回は昆虫のみとします。ゴキブリよりも人間の方が強いところをみせつけてやるからな!『地球』を嘗めんなよ!!!
まずはエントリーした昆虫4種をご紹介!!
【出場選手紹介】
★エントリーNo.1「スズメバチ」
クール便で届いたので、解凍しました。
キャラクターは小町 小吉(こまちしょうきち)。
オオスズメバチの能力を持っています。
〝最も危険な野生動物〟と言われるスズメバチは、味も危険なんでしょうか…。
食べて平気なのか毒性が気になるところですが、蜂の毒は「タンパク毒」。加熱によって分解されるそうなので、刺された経験のある人も、調理されたものを食べる分にはアナフィラキシーショックの心配はないそうです。
★エントリーNo.2「コオロギ」
超新鮮!!カサカサと動き回る、今大会随一の「鮮度」を誇る食材。
キャラクターは斉藤 翔(さいとうしょう)。
フタホシコオロギの能力を持っています。
〝分子の動きすら感知できる〟と言われる感覚毛を持つコオロギ。この才能、果たして味にどう作用するのでしょうか。
★エントリーNo.3「イナゴ」
一度素揚げした状態のものを海外から輸入。
キャラクターはティンと本郷 丈一(ほんごうじょういち)。
〈ティン〉
〈本郷 丈一〉
サバクトビバッタ、通称エジプトツチイナゴの能力を持っています。
昆虫トップクラスの脚力を持つ、〝最古の害虫〟。集団で作物を食べ荒らしていくアレです。なお今回は、「サバクトビバッタと最も味が似ているバッタ目」ということで、タイワンツチイナゴを採用しました。イナゴといえば佃煮としても親しまれている食材。そう考えたら、これが大本命じゃないでしょうか!
★エントリーNo.4「タガメ」
解凍したもの。セミより少し大きいくらいの大きさです。
作品に出てきてないじゃん!ってツッコミ受けそうですが、その通り作品未登場昆虫!昆虫食的にメジャーだったのと、調達が簡単だったので参戦させてみました。ダークホース!作品には出ていませんが、水中戦最強の昆虫としても知られています。
【審査員紹介】
さあ、そして審査員はこの3名。一人目は、各種メディアで大活躍!〝虫食いプリンセス〟ムシモアゼルギリコさん!!
虫帽子をかぶって登場!
昆虫食ポータルサイト「むしくい」を管理しているギリコさん。「漫画飯」の昆虫食描写を読んで、実践。そこから昆虫食に目覚めたそう。昆虫が食糧難を救うとか、健康に良いとか、そういったアカデミックな事柄には1ミリも興味がないそうで、ただただ虫の味が大好き。「ジャンプ+」では『カラダ探し 解』を毎週楽しみにしている。
二人目はなぜか巻き込まれてしまった!ジャンプ+編集部・ふじた!!
全身から溢れ出す虫への嫌悪。
「めっちゃ痩せるかめっちゃ太る」…というのがジャンプ編集部あるあるだが、この場合は後者のパターン。
んで、三人目が僕おげんきです。
4種の昆虫、いよいよ実食!
★エントリーNo.1「スズメバチ」
カラッと素揚げされたスズメバチ。豆に見えないこともない…か。
「うううわあああああああああああ」
「お願いします!」
「ああああああああああああああ!!(カリッ)」
「…………ああうん…ああ…あ、唐揚げですね!」
「素揚げって言いましたよ」
「食べちゃうとおいしいなぁ!これ塩もらっていいですか?」
「虫は塩分がないので、やっぱり塩振った方がおいしいはおいしいんですよね」
「(カリッ)…うまっ!かりっかりでうまっ!」
「スナックだな…。」
「そうですね。これ、キイロスズメバチっていう小さい種類なので、硬すぎなくて食べやすいと思います。たとえばオオスズメバチになると、さすが強いだけあるなっていう感じの硬さで(笑)。グラノーラと混ぜてクッキーにすると、食感も統一されておいしいんですよ」
ジャッジ:「スズメバチ」1票
「あれ?これぼくめっちゃ好きなんですけど!みなさんダメ?」
「まぁ、香ばしさのみですね。悪くないんですけど、虫意識の高い人としては、この程度じゃっていう…(笑)。」
「やめられないとまらない系。でも旨味みたいなのはないのと、口に足が残る」
「もしかしてみなさん初虫ですか?イナゴとかも?」
「ないですね。初虫です。初虫て」
「初虫がスズメバチなんてめっちゃ贅沢じゃないですか(笑)。初めて食べた虫、うーん、スズメバチですねぇとか言ったら、こいつ、できる…!って感じですね(笑)。なんかフードバトル的に(笑)」
★エントリーNo.2「コオロギ」
白い個体は脱皮したての「ソフトシェル」。ふんわり食感だ。
「さっきまであんなに元気にしてたのに…」
「高温の油で瞬殺ですよ。ジャッって」
「あ…うん…?…うまっ!揚げた海苔っぽい!」
「おいしい!スズメバチより全然おいしい!めっちゃうめぇ。結構衝撃を受けるぐらいおいしい。ちょっとなんか、海の香りもする」
「コオロギは外皮がやわらかいので。とても食べやすいんですよね。味も癖がないですし」
「お酒が欲しくなるなあ…」
「そうなんですよ。揚げたての虫ってビールとめっちゃ合う。最高です。これからの季節最高すぎるくらい。揚げたての虫とビールほどおいしいものがあるだろうか、いやない」
「反語(笑)」
「ビアガーデンで虫食いたいなぁ…」
「屋外のビアガーデンで虫をたべるって、すごい良いと思うんですよね」
だんだん緊張感の取れてきた虫素人。
ジャッジ:「コオロギ」3点
「おいしいこれ。おつまみにしたい!」
「食感はさっきのスズメバチが勝つけど、味は断然こっち」
「好みもありますよね。昆虫食の仲間でも、カサカサ系が嫌な人とニョロニョロ系が嫌な人がいて、二分化されたりするんですよ。
「ニョロニョロの方がきつそうだな…」
★エントリーNo.3「イナゴ」
足の長さもあり、皿の占有面積が一気にアップ。
「虫がちょっとずつ大きくなってきてる…。これこのまま食べるんですか?」
「これは揚げてあるんで、これごとボリボリと。頭からで大丈夫です。いろんな部位の味を確かめたいなら足をもいで、ふた口めで召し上がってください」
「エビチップスの味だ。ああ、ふともももおいしい。」
「油のにおいがすごいですね」
「海外で一回素揚げしたものを冷凍して輸入されてきてるんで、酸化した油のにおいだと思います。本来の味とは言い難いんですけど、まぁだいたいこんな感じ」
「素揚げ以外だったら何がおすすめですか?」
「硬いんで揚げないと無理なんですが、足と羽を取り除いて、そのままタコスの具にしてトッピングしてもおいしいですよ。揚げない場合は、オーブンでカリッと焼くとか。トルティーヤチップス、チーズと和えてオーブンで焼いてもおいしいですね」
「さっき見せてもらった本の中で、クラッカーの上に虫が乗ってた料理もありましたけどあれは」
「あれは、手軽な食べ方かつ、虫のビジュアルを楽しむための虫料理って感じです(笑)」
「確かにパーティーでクラッカーにイナゴ載せてバリバリ食べてたら面白いけど(笑)」
結果的に二度揚げなので油っこく、ウーロン茶が進んでしまう。
お腹はこんな感じ。顔にも見える。
ジャッジ:「イナゴ」2点
「やっぱ僕、匂いがするのが好きみたいです」
「なんか、全部好きになってません(笑)?」
「やばいです(笑)」
★エントリーNo.4「タガメ」
いよいよラスト。タガメは独特な香りを持つ昆虫。お店中がいい匂いに…。
「タガメはどうしても、羽が口に残るので。開いて取っていただいて…脚も邪魔だな。身の部分を食べるといいと思います。薄い羽も食べられます。取ってもいいですけど」
「タガメのサイズ感は、現実に戻されるな…。脚取ったらセミですね、完全に(笑)」
デカイし重い。そして硬い。
「硬いので、お尻からかじっていく感じ。かなりフレーバー強いので、あんまりひと口が大きくない方がいいですね」
「洋梨だ、これ!見た目と味に乖離があって、頭が追いつかない(笑)。」
「(パクッ)…おお!すげぇ!わぁ!なんだろう…こわい (笑)。この物体からこの匂いが出てるのが怖い!」
「このタガメはオスなのですが、普段はこういう食べ方しないので、たまにはいいですね」
「どういう食べ方があるんですか?」
「ざく切りして香辛料に混ぜたり、スープの香りづけとかに使うものですね。タガメを白ワインで煮出して、その水分でゼリーを作っても、香りがあっておいしいですよ。この洋梨の匂いはフェロモンで、オスが特に強いニオイを放つんです。なので、香りづけに使われるのはオスが多く、普通はメスをこうやって素揚げにして食べたりという感じのようです」
「けどやっぱり外皮が硬い」
「そうか、食べるところが少ないのか」
「硬い部分はたいしてタガメらしさは味わえないので。無理して食べなくてもいいと思います」
ジャッジ:「タガメ」0点
「オスの食べ方としては、不満があるからバツにしようかな」
「驚きはしたけど、おいしさで言うとな…」
「香りだけ。食べでがあると思ったのに身も少ない…」
★『テラフォーマーズ』おいしいキャラクター選手権「人類代表」最終順位はこちら!
1位「コオロギ(斉藤 翔)」3点
2位「イナゴ(本郷 丈一)」2点
3位「スズメバチ(小町 小吉)」1点
4位「タガメ(キャラ不在)」0点
ということで、『地球編』から登場したキャラクター「斉藤 翔」を一番おいしいキャラクターとして認定します!おめでとう!!!!
活躍シーンは18巻などに収録されてます!
「コオロギおいしかったんですけど、鮮度って関係あるんですか?」
「ありますねぇ。家でゴキブリを飼っているんですけど、死にかけってツヤが無いんですよね。でももったいないから食べるじゃないですか。するとやっぱりおいしくないんですよ。で、すっげえ元気なツヤツヤテカテカしたピチピチしたの食べるとおいしいです」
「ヒイイああああああああああ!!!!」
「思い出しましたね。そうです、最後にゴキブリを食べるミッションが残っているんですよ」
真打、ゴキブリを実食!
「それじゃあお願いしまーす!」
「いよいよですね」
「あーーーどういうことですかどういうことですか」
こういうこと。『テラフォーマーズ』最大の敵とも言える、ゴキブリたち。ついに挑むぞ!
ゴキブリ降臨!!!!!!!!!!!!
そしてこれがお店でも食べられる現実の「ゴキブリ」たち。調理前。
「うおおおおおおゴキだああああああああ!」
「完全に現実に戻された…。あれ?でもあんまり知ってる感じのゴキじゃないなぁ」
「これは…メスですね。メスだと羽がないんですよ」
調理されたゴキブリたち。素揚げと唐揚げの2種類用意してくれたが、衣が剥がれてしまった。
「あれ?なんか、開いてません?」
「揚げると空気が入るんです。油に入れて開いてきたらあげる、という目安にしてるぐらいですね。ふわーって開いたらよしって(笑)」
「ハマグリじゃあるまいし(笑)…そうですね、素揚げの方から行ってみましょうか…。ああ!なにこの味…香ばしっ!ふわーって…残るなけっこう」
「(パクッ)うん…。ピーナッツみたいな味がするんですね。癖が強い」
「唐揚げも食べてみましょう。…………ちょっと食感が足されますね。サクッと。へー、さっきと味の感じ方が違う」
「独特なスパイス、香辛料みたいですよね。やっぱゴキブリは珍味と思った方がいいですね」
「なるほどー。「乾燥させたゴキブリは漢方薬にも数えられていて、肝機能向上、月経不順改善などデトックス効果があるそうです。」と原作の貴家先生もおしゃってました。これはきちんと管理されているゴキブリだと思うんですけど、そのへんのゴキブリ…あいつらは食べられるんですか?」
「自分で衛生的に飼育していればクロでもチャバネでも食べられます。ゴキブリ自体に毒があるわけではないので(笑)。ただいろんなところ歩き回って不衛生だってだけの話ですね(笑)。お腹の中の未消化物が雑菌まみれっていう可能性もありますし」
「管理しだいなんですね」
「問題ないですね。本来不潔なところにいる虫なので、実は本体自体にすっごい抗菌性があるらしくて。人間にとって危険な菌を殺す抗生物質を作り出せるゴキブリがいるとか、そんな話もあるらしいです。それを丸ごと食べてる私たち勝ち組みたいな(笑)」
「すごい楽しんで虫を召し上がってますね。昆虫食のコミュニティで集まった時のあるある話みたいなのってあるんですか?」
「家族から冷たい目で見られるとかは、あるあるですね(笑)」
「悲しい…」
「では決めましょうか。コオロギとゴキブリ、どっちがおいしかったか。僕はコオロギなんですけど」
「あっ、僕もコオロギです」
「ワインとかでもいけるから。コオロギいいですよ~」
「大人が集まると、どうしても飲兵衛の発想になってしまう(笑)」
「ラオスかな…。スナックに行くとこんな昆虫食がおつまみで出てきて、おねえちゃんたちがあーんってコオロギ食べさせてくれるらしいですよ(笑)」
「〝スナックこおろぎ〟ってありそう。メニューなのかよ!って(笑)。じゃまあ、決まりですね。
『テラフォーマーズ』おいしいキャラクター選手権、結果は!
おめでとうございます!コオロギ選手、余裕のウイニングラン!
カサカサカサカササカサカカサカササカサカ
「いやー。虫っておいしかったんですね、考え変わりました」
「おいしかったですねー。ただちょっと気になることが…」
「どうしました?」
「虫ってひょっとして甲殻類ですか?」
「甲殻類ではありませんが近縁の生き物ですから、アレルギーについては「似たようなもの」と考えていいでしょう。ですから、記事にぜひ書いていただきたいんですが、甲殻類アレルギーの方は昆虫を絶対食べないように、と」
「エビ食べられない人が、代用品として食べるとか、やらない方がいいのか…。そして昆虫って全部だめなんですか?」
「全部だめ。ハチも。成虫だろうが幼虫だろうが」
奥が深い!昆虫食も『テラフォーマーズ』も
さーいかがだったでしょうか。最初の方は「虫を食べるなんて無理!」って気持ちもあったんですが、冗談抜きで、案外味はイケましたよ。
昆虫を食べる際はキチンとした衛生管理がされたものを食べましょう。読者の方はお気をつけください。
ということで、昆虫食取材はここまで。結論としては
コオロギうまい!
~THE END~
★テラフォーマーズ21巻アニメDVD同梱版 2018年6月21日(木)まで予約受付中!!
■今回取材に協力いただいたみなさん
★ムシモアゼルギリコさん
テレビやラジオ、雑誌、イベントなどで昆虫食の魅力を世に広める〝虫食いライター〟。昆虫食ポータルサイト『むしくい』管理人。2013年には昆虫食解説本『むしくいノート』(カンゼン)を出版。
Twitter:https://twitter.com/mushikui_net
★米とサーカス 高田馬場店さん
ジビエ料理や昆虫など全国の珍味が食べられるディープでオシャレなお店。「一度は食べてみたい!」と好奇心をそそるようなメニューが盛りだくさんです。
高田馬場店ホームページ
[注意]ゴキブリ料理は、錦糸町にある系列店の「米とサーカス ダービー通り」店さんで楽しめます。
ダービー通り店ホームページ
書いた人/おげんき
だいたいライター。2017年9月まで『週刊少年ジャンプ』で読者ページ「スクールオブジャンプ」を連載していた、『ONE PIECE』公式LINEの中の人。グランドジャンプで「儂に訊くな!」の連載協力もやっている